建設業界への転職は難しい?未経験で建設業界へ転職するポイント
建設業界では人材不足により、未経験者の転職が増加しています。20代は無資格でも採用されやすく、研修や資格支援制度も充実しています。また、異業種からの転職者も多く、経験を活かして新たなキャリアを築くことが可能です。
目次
未経験から建設業界への転職は難しい?
建設業界では人材不足を背景に若い未経験者の採用が増加し、転職がしやすい環境です。また、未経験者向けの求人も急増しており、異業種からの転職者も増え続けています。
◇若いほど転職しやすい傾向
建設業界では職人の高齢化や若年層の離職により人材不足が長期的に続いています。このため未経験者も転職しやすく、若い人材の採用が積極的に行われています。
最近では、未経験者でも安心して働ける研修制度が整備され、先輩からのサポートも充実しています。このため、初めてでも働きやすい環境が整っています。
特に20代であれば、無資格でも採用されやすく、転職後に経験を積みながら資格取得を目指すことでキャリアアップも可能です。
また、建設業界では経験や実力が重視されるため、30代であっても資格がなくても転職が可能です。過去の職務経験が評価されることも多く、入社後に経験を積み、資格を取得すればさらなる活躍も期待できます。
面接の際は前職でのスキルや社会人経験をアピールし、20代との体力差はこれまでの経験でカバーする姿勢が重要です。
◇未経験の求人が急増
『リクルートエージェント』によると、「施工管理」の未経験者向け求人は2016年を基準に2023年には16.55倍に増加しています。
この背景には、建設需要が安定していることに加え、未経験者を採用し、長期的に育成する動きが進んでいることが挙げられます。
未経験者向け求人の増加は首都圏や茨城県を含む関東圏に限らず、他地域でも同様で、地域差がほとんどありません。
また、異業種から施工管理職への転職も増加していると、リクルートエージェントの調査で明らかになりました。2023年には施工管理職に転職した人数は2016年の2.95倍で、異業種出身者が5.44倍と大きく増えています。
現在、異業種からの転職者が全体の約半数を占め、中小企業や地方企業でも未経験者を受け入れる動きが広がっています。
キャリアアップに資格は必須?
建設業界でキャリアアップを目指すには、資格取得が有利です。施工管理技士や建築士などの資格があると、責任ある業務や専門的な仕事に携われる可能性が広がります。
◇キャリアアップには資格取得が必要
結論から言えば、現場監督の仕事に必ず資格が必要というわけではありません。建設業界には職種が多岐にわたるため、未経験者でも資格なしで目指せる業種が多くあります。
例えば、施工管理の仕事では、初めは補助的な役割を担いながら現場で経験を積み、最終的に責任ある立場へとキャリアアップしていくことが可能です。
ただし、建設業界で働く際に全く資格が不要というわけではなく、資格がないと関われない仕事も存在します。資格があれば、希望する仕事に就きやすくなる点も見逃せません。
◇資格が必要となる主な職種
建設業界には専門分野ごとに多くの資格が存在し、取得しておくと携われる業務が増えます。
・施工管理技士
施工管理技士は建設現場の安全管理や進行調整、工事計画の作成などの責任を担います。建設業許可を受けた事務所では「専任技術者」や「管理技術者」として必要とされ、「建築」「電気工事」「土木」などの分野に分かれ、1級と2級の資格があります。
・建築士
建築士は建物の設計や工事監理を担当する専門家で、1級と2級の資格があります。2級建築士は主に小規模な建物を扱い、1級建築士はすべての構造・用途の建物を担当できる資格です。
加えて、建設業ではクレーンやショベルカー、ブルドーザーなどの重機を操作するための資格も求められます。
これらの資格は技能講習や試験で取得可能で、現場で重宝されるためスキルアップの一環として取っておくとよいでしょう。
また、はしごや足場の設置・解体に必要な資格もあり、講習と試験を受けることで取得できます。
建設業界で働きながら資格を取得する方法
建設業界では、企業の「資格支援制度」や独学を通じた資格取得が可能です。支援制度を活用すればモチベーションを保て、独学なら自分のペースで進められます。
◇会社の制度を活用
近年、建設業でも「資格支援制度」を導入する企業が増えています。この「資格取得支援制度」は、企業が社員の資格取得をサポートする仕組みで、受験費用の負担などが含まれ、業務に必要な資格取得を支援します。
資格支援制度の対象には、公的資格や民間資格を含む業務に役立つ幅広い資格があり、社員のスキルアップを企業が積極的にサポートしています。支援内容は企業ごとに異なり、たとえば内定者に指定資格の教材が配布され、新入社員研修でその教材を使って資格試験対策が行われる場合もあります。
また、資格取得講座や模試への助成金支給もあり、さらに、資格保有者が講師となって勉強会を開催する企業もあります。仕事との両立は簡単ではありませんが、資格支援が整った環境ならモチベーションも維持しやすいでしょう。
◇独学
独学で資格取得を目指すメリットは、自分のペースで学べる点にあります。時間や場所に制限されず進められるため、仕事と両立しながらの学習に向いています。
施工管理技士や建築士の二次試験受験には実務経験が必要なため、働きながら実務経験を積みつつ、資格試験の学習を並行するのが一般的です。
二次試験の合格率は10~16%と低く、一次試験合格後も4年以上の実務経験を経て独学を続けるのは難しいことも多いため、通信講座の利用がおすすめです。
特に、動画講義付きの通信講座は、休日にまとめて学習できるだけでなく、休憩時間や移動中にも効率的に学べます。動画のダウンロード機能がある講座なら、ネット環境がなくても視聴できて便利です。
未経験者が建設業界への転職を成功させた事例
未経験から建設業界への転職でキャリアアップを目指す人の事例を紹介します。量販店勤務や保育士から転職した人が、それぞれの経験を活かして新しい道で活躍しています。
◇量販店勤務から施工管理技士を目指す
ここでは、未経験から建設業界への転職を成功させた人の事例をご紹介します。この方は建設業界に転職する前、量販店で約7年間勤務していました。
おすすめした商品が売れ、お客様から喜びの声を聞いたり、地元テレビで紹介され話題になった商品が完売したときに大きなやりがいを感じていました。接客業が自分に合っていると感じていたものの、当時の給与では安定した生活や将来のライフプランが難しいと考え、転職を決意しました。
転職エージェントに登録し、建設業界の魅力や将来性、キャリアアップの可能性を知って建設業界への転職を決断します。転職して良かった点として、今まで関わる機会がなかった職人さんたちと接し、会話できることが新鮮で楽しいと語っています。現在は施工管理技士の資格取得を目指して勉強中です。
◇保育士からBIMオペレーターへ転職
保育園の先生として4年間働いていた方の事例です。転職を決意した理由は「もっと成長したい」という思いでした。未経験からCADオペレーターとして働ける企業を探す中で、研修が充実した企業を優先して選びました。
入社後、BIM(Building Information Modeling)について研修を通して学ぶことができ、不安もありましたがゼロからじっくり学べたことで安心して進められたそうです。
研修では、2Dの図面をBIMで立体的に作成する作業を経験。複雑な図面作成は難しかったものの、チームメンバーと連携して進める中で、コミュニケーションの重要性やチームで仕事を達成する達成感も味わい、知識だけでなく協力し合う力も重要だと実感しました。
建設業界への未経験からの転職は、人材不足や若年層の離職が続くため、近年は転職がしやすくなっています。20代であれば無資格でも採用されやすく、研修制度や先輩からのサポートも充実しているため、未経験者にとって働きやすい環境が整っています。
30代でも過去の職務経験が評価されるため、資格がなくても転職は可能で、入社後に資格を取得しながら活躍することも期待されます。
さらに、異業種から施工管理への転職も増えており、2023年には施工管理職への異業種出身者の転職が2016年の5.44倍に達し、今や中小企業や地方企業でも未経験者の受け入れが広がっています。
キャリアアップを目指す際には、施工管理技士や建築士などの資格取得が有利で、特定の業務に携わるために必要なことが多く、責任あるポジションを目指す道が広がります。建設企業では社員の資格取得を支援する「資格支援制度」を導入する企業も多く、受験費用負担や勉強会なども活用でき、仕事と資格取得を両立しやすい環境が整っています。
独学で資格を取得する方法もあり、通信講座を利用することで動画講義などを活用し、仕事と両立しながら効率的に学べます。異業種から転職し成功した例として、量販店勤務から施工管理技士を目指すケースや、保育士からBIMオペレーターへ転職したケースがあります。
それぞれ接客経験や保育経験を活かし、新しい環境でスキルを身につけて活躍しており、異業種からでも建設業界で新たなキャリアを積むことが可能です。